甲子園のこと

 第100回記念大会の決勝戦、どっちが勝っても史上初の記録を刻むことになるだなんて、まぁほんとにすごいなぁ。

 どっちを応援すると言えば、そりゃぁ白河の関゛を越えで東北゛に深紅の優勝旗を持ち帰ってほしい‥‥それは東北人にとって悲願でスからね、やっぱり金足農業でス。
 涙腺ゆるゆるのおじさんは、勝っても負げでも、間違いなぐ泣いでしまうがら、午前中必死になって仕事を片゛付゛げで、そっと休みを取って帰ってきたんでス。
 濁点ばっかですみませんでス。

 結果は言わずもがな‥‥。春夏連覇を果たしたチームはさすが横綱相撲のようだけれど、ここまで強靱なものにしてきた彼ら(そして保護者の皆さんなど)の努力たるやと思うと、やっぱり目がウルウルしてきてしまいます。

 金足農業だってよく踏ん張ったけれど、最後に露呈してしまったのは層の薄さだったと思います。夏の地方大会から決勝戦まで約1,500球をたった1人のピッチャーが投げ抜いてきただなんて‥‥。他のメンバーにしたってずっと同じポジションで代打もなし、9人で勝ち上がってきただなんて‥‥。
 残念ながらこれが公立の現実なんだなぁと思いました。シニア出身1人、中学野球でも数人、あとは高校から‥‥そんなメンバーが集まって「めざせ甲子園!」という夢・目標に向かっていくのだ。
 夢をもっともっと現実に近付けるため、私立に集まっていくのもわからないではありません。いや、当然なんですよね。

 でも、公立だって優勝したチームはあるし、金足農業もあと一歩のところまでたどり着いたんだよね。優等生な書き方かも知れないけれど、同じ高校生だし甲子園にやってくるようなチームなのだから、そんなに差はないと思うんです。東北も昔よりはずっとレベルが上がっています。私立のおかげでもあると思っています。
 金足農業の彼らが魅せてくれたのは、層は薄くても集中を切らさずチームワークでがっちりと戦っている姿。バント練習も多いそうで、結局それはあの奇跡的な2ランスクイズにつながったし、雪の中を走って下半身を鍛え、それは一人で投げ抜いてきたピッチャーのスタミナでもあったり。いや、どこの球児もいろいろ工夫してやってるとは思うけど。

 そう考えると、もうちょっと層を厚くできればチャンスはある、んじゃないのかな。もちろん走り込みやウェイトトレーニングなどの練習量も増やさなくちゃと思います。
 そして何よりも、お互いに信頼し合ってチームワークを一層強めつつ、常に集中力を切らさないで‥‥そこがなかなか難しいんじゃないかな。まぁそこができれば、公立にだって夢を現実のものにすることができるんだと思います。

 吉田くんがついにつかまったというか、大阪桐蔭の強打が炸裂した5回、集中が切れたと思いました。さすがにもう無理だと‥‥。メンバーこそ替わらなかったけれど、ついにポジションを入れ替えて‥‥。
 しかし、絶対エースを欠いたチームでも、あの強豪校相手によくやったなぁと思いました。9匹の小豚が生まれたというニュースもありましたが、自分は「きっと何かある、持ってる」なんて考えていたのです。彼らには、そんな偶然とか奇跡とかじゃなくて、彼らなりのすばらしいチームワークがあったし、たっぷりの練習が自信につながっていたんだろうなぁ。そしてずっと集中してた。
 層が厚ければ、また違った展開もあったのでしょう。だとしたら、決勝戦前にもあったでしょう。でもそう考えていくと、決勝戦までは勝ち上がってこなかったような気もするのです。

 甲子園はそんなに簡単なところではないと思います。
 だけれど、シニア出身1人、中学野球でも数人、あとは高校から‥‥そんなメンバーが集まって決勝まで勝ち進む現実を見せてくれました。十数年前ボクらが追いかけていたチームもそんなメンバーだったっけ。
 公立も私立もない。どのチームにもチャンスはある。夢を夢で終わらせないために、その目標をしっかり見据えてチーム一丸で集中していく、結局はそういうことなんだろうなぁ。思いっきり普通の話になっちゃったけど‥‥。

 すっかり魅了されて、厳しい台所事情を察してたくさんの支援金が集まったとも聞きます。赤字にならないようにと祈るばかりですが、もっともっと施設設備の充実を図って練習してほしいなぁとも思います。公立はホントそこからだから‥‥。
 休み取ってテレビで観戦して予想どおり涙流して、すばらしい決勝戦でした。すいません、どうでもいいような話で‥‥。