いきぬくちから

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遙かなる道ふりかえる夏の宵
 宴のほとり尾瀬の雪どけ

 夏のこの時期、毎年恒例となっている某組合の定期総会。昨今組合離れはどんどん進んでおり、顔ぶれはいつも同じ‥‥というのは正直どこも同じなんだろうな。
 まぁね、それはそうだけどさ、出席者が少なくても、1年の活動とか振り返って、たいへんだけどまた頑張っていこうって意識し合える機会だから、やっぱり大切なことだなぁと思うのです。

 そして引き続きの懇親会。いつもの店のおまかせ季節料理のかたわらに、夏の酒をおいてみんなで愉しみました。
 たった1年だけどずいぶん昔のことのようであったり、もう何年も前のことを昨日のことのように思い出して盛り上がってみたり、高齢化故に、総じてはるか長い年月に渡る思い出話に花を咲かせながら、酔いが深まっていくのでありました。
 爽やかでフルーティーな味わい。尾瀬の雪どけとはいい名前だわぁ。期待以上に良かったです。

 若者の加入率が激減する一方で、入るのが当たり前という時代だったベテラン層が多数を占める組合人口ピラミッド。而して組合は高齢化の一途、間もなくやってくる大量退職の時期を過ぎたあと果たしてどうなるものやら‥‥。

 若い頃は生活に余裕がありました。自分だけじゃなくて世の中がそうだったと思う。それで暇を持て余していたわけではなくて、職場ぐるみだったり仕事仲間とだったり、アフターファイブをみんなで楽しんだものです。カネの余裕はなかったから、集まって何かいろいろやるということでコミュニケーションを図っていたんだろうなぁ。組合にもそういう一面があったと自分は思います。心の豊かさだったんだと思う。
 今は余裕がない。息もつかずやっとこさ区切りを付けて帰っていく感じ。みんなそうだから、お互いにそれ以上はあまり立ち入らないようにしてるんですよね。ギスギスしているわけではないけれど、仕事を続けていく、生き抜いていくためと思えば、そうせざるを得ない現実というか‥‥。

 いわゆるメンタルヘルスで休んでいる労働者の割合というのがものすごく高くなっていますよね。仕事に追われコミュニケーションが不足している現状。その対策としてアンケートみたいのやって後日結果が届いて‥‥なんてのもあります。メンタルヘルス対策。
 仕事が多いと感じている自分は、結果的にそういう結果が出てくるんだけれども、それじゃぁさ、仕事を減らすよう上司に相談してみよう‥‥みたいなアドバイスが書いてあってムカムカしたりするわけです。ストレスを助長してはいないかと疑問を感じたり‥‥。
 わかっちゃいるけどさぁと、そういうのも笑い飛ばせる仲間がいることってほんとうに心強いものですね。

 同じ職場の職員同士で飲むよりも、むしろ同じ仕事をしてる他の職場の人と飲んだ方が、お互いに客観視できていいような気がします。今回もそうだけど、一人職の自分は結果的にそういう機会が多く、いつもとてもありがたく思っています。
 この仲間たちと、土をこねて陶芸したり、紅葉の時季にカメラウォークしたり、苔玉作りをしたり、そんな楽しみも続けています。今年は数珠を作ってみようなんて話も出たり‥‥。意外に食いつきがよかったりして。

 採用されて間もない頃、当時は職員旅行なんてものをやっていて、十人ちょっとなんだけどその家族とかも連れてマイクロバスで、そうそう一泊の尾瀬旅行をしたこともありました。若者はほとんどおらず、父ちゃん母ちゃん世代と2日間もいっしょなんだけど、でもその父ちゃん母ちゃん世代が元気で楽しくてねぇ。夏の尾瀬、よかったなぁ、愉快な旅行だったっけ。
 飲み会も少なくなくて、しょっちゅうやってたなぁ。そんな息抜きをしながらやってたから、ストレスを抱えるとか何とか、思ってもみなかったわけです。そういう時代があったんですよね。

 でも時代は変わった、そういう時代ではないんだ、だから子どもたちも含めて、今は「生き抜く力」を身につけなければならない時代なのだと言うけれど、だからこそ「息抜く力」を兼ね備えることが大切なんだと思うのです。
 必死で突っ走ればやがて苦しくなるし気付けば周りには誰もいません。走り方はそれぞれだけれど、そこそこやって別のこともやって一息入れながらのんびりすすんでいく、その広がりをつくっていく、そういう生き方をしていく方が、結果的にこの時代を生き抜くことができる‥‥んじゃないのかなぁ。ONも OFFも、両方あるからバランスは保たれる。
 時代は変わっても、大切なことは何も変わらないんだよなぁ。

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 コース料理の最後は決まってミニせいろ。相変わらず絶品の蕎麦です。自分は年に一度しか打たなくなってしまったけれど、ムキになどならずに適度な間隔で続けていれば、もう少しマシな蕎麦が打てるんだろうけどなぁ‥‥。