ついに

 この日が来て、それが終わって、何も心配することなくビールを飲んで、そして明日はアラームなどかけずにゆっくり寝てるのだ‥‥。一日千秋の思いで待ち焦がれていたこのシチュエーション。

 現実はそんな四字熟語的悠長な話ではなく、山積みの仕事を、その都度対応する仕事を日々ひたすら必死に処理していくだけ。気持ち的にもう休んでる暇もなかったから、ここ数日さすがに心身ともにすっかり疲弊しきっている自分に気づいて、あと一日、あとわずか、イメージとしては這いつくばって手を伸ばした先に今ゴールラインが見えているような、まぁそんなところだった。
 それが現実的に、はいその瞬間が来たんですよと、いつもどおりだけど何か違う晩ごはんの食卓に着いた。忙しくても毎晩飲んではいたけれど、プシッと開ける缶ビールの栓の音も、昨夜は格別にいい響きだった。

 この1週間ほど、ハナミズキの濃いピンク色が朝日にとてもまぶしかった。そこに新緑の葉も混じってきて一層鮮やかだ。今朝はゆっくり寝ていようと思っていたけれど、そんな風景を見てしまうともうじっとしてなどいられない。今春は桜を堪能できなかっただけに、なおさらそう思う。結局普通に起きて、そしてウォーキング。

 例年なら観桜客で賑わう時季だけれど、すっかり葉桜で静かである。でも天を仰ぐと山桜とかまだそれなりに楽しめるところも少なくない。こういう色もいいもんだなぁ。

 一方で、だいす木も芽吹いて青空にまぶしい。
 この木はまだ緑が少なく感じるけれど、林の中はもうすっかり新緑なのだ。そうは言ってもまだ春だからさ、時候のあいさつは新緑の‥‥じゃなく穀雨とか晩春の‥‥がいいんじゃないの?と係としてアドバイスしたんだけど、ん〜現実はやっぱり新緑なんだよなぁ。

 さて、ちょっと足を伸ばしてお城山に登ってみました。町民の森、モネの世界みたいな風景でした。
 てっぺんのベンチに腰を下ろし、ふもとで買ってきたペット水を飲みながら、とある方向をじっと眺めていた。いろんな思い出が蘇ってくるようだったけれど、こんな日に限って団体さんがおいでになったようで、しばし黙祷して足早に北町側に降りた。

 青い空、赤いハナミズキ、白い飛行機雲は勢いよく宙を舞うツバメが発しているみたいだった。暑い。夏みたいだった。

 とにかく季節は10日〜2週間ほど早くすすんでいる。だとしたらあるんじゃね? と思って行ってみる。はいありました。今晩は初ものをいただきながらまた飲めるなぁ。自然に感謝。