おとなりさん

 向こう三軒両隣‥‥、現実には背中合わせに建っている10軒ほどが自分とこの隣組。毎年この時期に組費等の決算報告がてら懇親会が開催されています。今年も全戸2人ずつ全員出席で楽しいひとときを過ごしました。

 決算報告と言っても、そのほとんどが区会の方への上納金(笑)で、この隣組としての支出は最後のこの懇親会分のみ。しかも経費の半分助成するだけなんだけど、つまり年に一度の貴重な事業なわけで、みんな楽しみにしているんです。
 決算報告は開会あいさつ代わりにササッと済ませ、拍手で組長さんの労をねぎらい、さぁビールを注いで乾杯と。どうせなら生ビール行く?とか誰ともなく言って飲んでみたり。奥様方にこそ飲んでいただいたり。
 豪華な御膳もある程度になってくると、やっぱりこれがよくなるんだよなぁと、地酒・黒ラベル登場と相成ります。だいぶ賑やかで、このままではエンドレスになるのではないかと心配さえしますが、バスの送迎もございまして、だいたい予定どおり閉会するのでありました。

 が、珍しく「二次会行こう!」とツルの一声。奥様方に「大丈夫なの?」と心配されながら、オヤジ連中ぶらり途中下車の旅。
 目的地は決まっていたのでありました。若かりし頃それぞれに通っていた店の話が一次会で出ていて、それでみんな「よし!」みたいになってたわけ。今でも馴染みの一人が交渉に当たるも、残念ながら予約も入っていて入店できーず。
 しゃぁないしゃぁない、せっかくの機会だから飲んでいきたいけど実はもうどこでもよくて、近くの焼鳥屋さんに無事落ち着きました。飲み直しの生ビールで乾杯!

 多少の違いはあるけど、ほとんどがここに移り住んで約30年。組の編成が多少変わったこともあったけど、ずっといっしょにやってきました。自分たちは当時まだ二十代ですごい若いつもりでいましたが、今になって思えば年輩の方だって10歳くらいしか違わなかったんです。
 当時からそうだったんですが、なぜかこの組の方々はいろんな行事にもきちんと出席していて、あまり出席しない区の総会でさえ高出席率です。芋煮会だってみんな出る。そして飲む。近年は、道路清掃の奉仕作業も、ここだけ草刈りを任されて別行動。おしゃべりしながら草削りでちゃかちゃかやってる他の組とは真逆、みっちり1時間無言で機械を動かし汗だくのヘトヘトですわ。
 だからこそ、みんな腰痛持ちなのに自分も行かなきゃと思うし、終わった後は達成感共有して、ホントは「じゃぁ飲みますか?」と言いたいところなんだけど、それぞれの休日を束縛してはならないし、そういうところがいいんだなぁ。でもあとで聴くと、みんなゴロゴロして早めに飲んだとかって話で、だったら次はやりますか?なんて笑っていられるのです。

 歳も歳だからウチ飲みが増えて、ましてや町内で二次会なんてホントに久しぶりでした。みんなそうだから、あれやこれやの話で盛り上がり、何かよくわからない焼酎をロックで飲んでたようで‥‥。
 だいたい食べ尽くし飲み尽くした頃合いで、さぁ帰るぞとお会計。あ、オレ財布持ってきてねぇ以下同文的な‥‥。一次会費はほとんど奥様に任せてあって、みんな手ぶらで参加してるという‥‥。あ「大丈夫なの?」ってそういう意味だったのか‥‥。
 大丈夫、オレが払っておくからという声に安堵し、よし、みんなで歩いて帰ろうと、さっきの話の続きなどしながらふらりふらり帰宅の旅、そして無事帰還。おかげさまで一層酔いました。

 翌日、割り勘の会費を届けながらお礼を言って、めんどくせぇからいいのにと言うのにおつりをいただいて、まぁそれも長いお付き合いのコツかな。
 今年こそ花見をしようと、それは新組長さんに引き継がれました。4月の半ばって意外にピタッとはまらなくてねぇ。でも日にちが決まっていれば、桜が咲いていようが咲いていまいが、要はこの組らしく飲むことだからという全員一致の答えなのでした。
 そう考えれば、雨も考えて集会所確保してさえおけば、もうどこでもじゃんじゃん飲めるじゃんと。
 先日少し書きましたが、この春から新しくこの隣組に入られる方がいます。ここまでがっつり仲がいいと、かえって溶け込みにくいかもなぁと思わないでもありません。でも、お隣さん同士助け合いながら過ごしているだけのことだし、あとは楽しく飲めればそれで充分。花見の会が良いスタートになればいいなぁと思います。
 いや、飲んでるばかりの隣組ではないんだけど、あんたも好きねぇってとこ。