理想と現実と

110405

 入学式の準備などで夜9時近くまでかかってしまいました‥‥。受け入れる転入生の数が予想以上に多く、しかしなかなか確定せず、いろんな事務も準備も進まないのです。震災後の対応が速やかだとは思えなくて「どうして?」なんて感じたり気をもんだりしていたのですが、現実はなるほどそうなのかと納得するばかりです。
 逆に言えば、たった1日2日で制服や運動着やカバンを集め、名簿を作り直し、下足箱を直し、例年なら在校生を動員してつくる式場も少ない職員だけでやって、それだっていつもの場所ではなく別の教室で試行錯誤しながらだし、奇跡的な現実。

 昨日は「全くもって先が見えない。見えないけれど子どもたちは生き生きと前を向いて進んでいくに違いない」なんて書いたけど、これは自分の希望的イメージでしかありません。避難してきた子どもたちが一様に前向きにグイグイ進んでいく‥‥とは限らないのが現実だろうと思います。迎える側の地元の子どもたちにだって戸惑いはあるはず。
 自分がもしそうだったら‥‥それまで通っていた学校の方がいいもの。知らない校舎、おゆずりの制服やジャージ、カバン、いずれも違和感以外の何ものでもない。部活が同じようにあるわけじゃない、親しい友達といっしょじゃない。元気に前向きに生き生きと‥‥そんなのあり得ないもの。とにかく家に帰りたい。避難所生活なんかで気兼ねしたくない。実はそうだろうと思うのです。
 すぐに帰ることができないことは知っている。たぶんしばらくはこの学校で生活するしかないことも知っている。何もかも実は知っている。地元の子は普通の生活ができているのに、どうして自分ばかり‥‥。
 学校に行けば、普通じゃない生活であることを認識せざるを得ません。テレビの話もマンガの話もファッションの話も、たぶん同じようにはできないのです。新しい出会いに期待がないわけではないけれど、先の見えない不安の方がずっとずっと大きいはずですね。
 それでも元気を出して明るく前向きにすすんでほしいと願うわけです。お互いに心の支えになってほしいものだとも思います。
 花をたくさん準備しました。式場は体育館ではないから一層華やかに見えるかも知れません。心を落ち着かせてほしいと思っています。

 子どもたちはとてもつらい思いをしています。ほんとうにたいへんな災害です。みんなしっかりしなくちゃと思っているのです。前を向いているのです。でも、ときどき疲れてしまうんですよね‥‥。もちろん子どもだけじゃない。
 だから心のケアを一番に考えて行かなくちゃならないのかなと、自分は素人ながら考えます。急がない、無理しない。ゆっくりゆるく、でもきちんとやってく。そしてときどき気を引き締め合うことも大切。がんばっぺ、ふくしま! って。生徒も職員も。

“理想と現実と” への2件の返信

  1. 「がんばっぺ ふくしま」・・・全くその通りです。
    今回の震災で、学生時代(仙台)の友人やら何やらで7名失ってしまいました。身元が確認され別の友人より連絡をもらいました。近いうちに仙台・多賀城へ行って来ようと思ってます。 昔一緒にX68000というパソコンで分担してゲームとか作った奴らです。・・このパソコンは思い出多い一台です。

  2. な、七名 ?!
    それはそれはつらいですねぇ‥‥。ごめん、かける言葉がない‥‥。
    青春の1ページ、大切な思い出ですね。
    X68000と言えば、ここを訪れてくださる方の中にもかつてブイブイ言わせた方が数名いらっしゃると思いますが、自分はその頃ワープロ命でしたからねぇ‥‥。
    でも68030なSE/30が思い出の1台として残っていたりします。正月に動作確認いたしました。

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