SUWADA の 爪切り

　愛用しいていたのは「東京タワー」の爪切りでした。なんじゃそりゃ‥‥。
　板バネ式というか、グルッと一回りさせてテコの原理で使う普通のタイプの爪切りでして、まぁそこら辺の雑貨屋さんで売ってそうなアレ。んでそのグルッと回すとこに「東京タワー」って書いてあったの。誰かのおみやげだった？ ん〜東京タワーのおみやげに爪切り買ってきたとはねぇ。
　でも家にある同じような爪切りの中で自分はそれがお気に入りだったんです。たかが爪切りされど爪切り。微妙な力加減、刃先の具合、そしてグルッと回した裏側のヤスリのヤスリっぽさとかがね、オレの指先にうんと馴染んでたんですよ。

　でもここ半年くらい「東京タワー爪切り」が見当たらなくて、似たようなヤツを使ってたんですが、ぜんぜん違うの。家族はどれも同じだと言うのですが、オレはそうは思わない。思わないだけじゃなくて爪を切ることがイヤになってきたの。
　だったら新しいのを買えばいいじゃんと近くの雑貨屋とかホームセンター見てみたんですが、違うんだなぁ。似て非‥‥。

　こうなるとネット通販かと思いまして、検索したら「SUWADAの爪切り」が出てきまして、これは自分の求めていたものとはぜんぜん違うんですが、以前テレビで見たことがあっていつか機会があったら使ってみたいもんだと思ってたものだったんですよ。
　これも運命だと思いまして速攻ポチるものの、製造が思うように追いつかなくてもう少し時間がかかりそうだのメールをいただいていました。もう３週間も前だったのですが、それが本日ようやく到着したのです。

　諏訪田製作所の SUWADA つめ切り CLASSIC、ステンレス製、サテンフィニッシュ・ヘアライン仕上げ、メタルケース入りです。新潟県は三条の職人さんが一つ一つ手作りしてくださっているんですが、まぁ見事な仕上がりぶりです。

　ネイルニッパーと呼ぶのだそうですが、こうして見ると確かにニッパーだなと思いますし、かつてニッパーで爪を切ってみたことも実はあります。悪くはなかったな。このネイルニッパーは、刃先が湾曲しててあぁ爪切りだなぁとわかります。

　で、このニッパーを握りますと刃が見事にきっちりとピタッと合わさるんですよ。寸分の隙間もないくらい。テレビで見たとき印象に残ったのはこういうところでした。

　実際の使い心地です。普通の爪切りみたくパチンパチンと切ってヤスリで仕上げるというよりは、これだけで細かく仕上げられるなぁって実感。切れ味がいいので爪にエッジができないからヤスリの必要がほとんどないの。切れ味がいいので微妙なデコボコだって細かく調整できますね。っていうのも、初めて使うものなのにもう手に馴染んじゃってる‥‥から。
　先端は相当鋭角的ですが、これでささくれてる皮の部分なんかもカットできていいです。ちょっと伸びてた爪、久しぶりに切ってスッキリしました。

　最初の方に書きましたが、最近爪切りが億劫でした。だからって以前は楽しみだったわけではありません。が、これは爪切りが楽しい。気持ちがいい。この楽しみを誰かにも味わってほしい‥‥んではなくて、誰かの爪を切ってあげたい、誰かの爪を切って自分でこのヨロコビをもっと味わいたい、そんな感じ‥‥。
　あれほど「東京タワー爪切り」にぞっこんだったのにもう探す必要もありません。良い道具ってホントに良いんだなぁって、もうそれだけですわ‥‥だ。