宙玉レンズを作ったよ

100605j

 というわけで作り方です。ここでは自作した経過を順を追って報告しますが、詳しいことについてはぜひ上原ゼンジ写真実験室の「宙玉レンズの作り方」をご覧ください。
 今日は朝から雨模様。のんびり、きっちり作ろうと思いました。その結果2時間近くかかってしまったんですが、いちいち写真を撮ったり、そのための順序や画づくりなどを考えたりしながらでしたので、実際には1時間もあればできてしまうでしょう。

100605a

 まずは材料です。
 ・チップスター(の空き筒)
 ・直径70mmの透明アクリル板(2mm厚)170円
 ・直径20mmの透明アクリル球 125円
 ・レンズに応じたステップアップリング(52→67mm)735円
 チップスターの空き筒は切り落としますから、小さいので充分です。もちろんでかいサイズをもりもり食べて頑張るのは大いにけっこう。
 アクリル板は3mm厚とも思ったのですが、結果的に2mmで充分だったと思いました。1mmではちょっと弱いかな。
 アクリル球はPowerBookのトラックボールと思ったのですが直径30mmくらいあるんですね。一応20mmと25mmのアクリル球も買っておいたので比べてみたらかなり大きい。大きくていいような気はしますが、見た目以上の重さに驚きまして、実際の映りには大差ないようだし、実験室にも書いてある20mmを使いました。写真手前が20mm、奥は25mm球です。
 ステップアップリングは、67mmになるようレンズに応じて用意します。オリンパス35mmマクロレンズを使うので52mmを67mmにするリングです。別のレンズでも試そうと思って55mm→67mmも買ってみました。
 1,000円ちょっとで感動の世界が広がるんですから、慢性金欠病を患っているオヤジには何ともうれしい工作の時間です。

100605b

 最初はアクリル板の加工から。センターに15〜18mmくらいの穴を空けます。そんな大きい穴を空けるものがなかったので、まず手動ドリルで穴を空け、リーマーを使って広げていくことにしました。

100605c

 センターをずらさないよう、きちんとした円になるよう、リーマーでケガをしないように気をつけながら、少しずつ少しずつグリグリやっていきます。この方法で丸くするのは難易度かなり高いと思います。
 15mmくらいの円を描いて目安としていましたが、それではちょっと小さいです。最終的に18mmくらいまで広げました。17〜18mm程度でいいかなと思います。

100605d

 リーマーの断面って細ければ円に近いんですが、太くなるに従って星形というか刃の数、この場合だと九角形になるわけですね。だから回転が早くないと穴は九角形に近くなっていくんです。もちろん腕の問題もあるんでしょうが‥‥。
 18mmの穴をきちんと空ける方法を見つけてやることをおすすめします。

100605e

 仕方がないので、棒状のヤスリを使って根気強く丸にしていきました。笑
 ヤスリはもちろん平たいヤツではなく、丸っこいヤツです。半径9mmのRになってるヤスリがあればいいですね。
 ここまでやって気付きました。アクリル素材は「はざいや」さんから買ったんですが、改めてチェックしたら穴空け加工もやってくれるようです。最初から穴を空けてもらえば良かった‥‥。でもここまでくればもうすぐですから。

100605f

 さぁ気を取り直して。削りカスなどをきれいに拭き取って、この穴にアクリル球を接着します。ちょっと出る方が外側になります。
 この段階ではけっこうきれいだったのですが、接着剤が硬化するに従ってその周辺が曇ってきました。接着剤とアクリル板との相性でしょうか。でもまぁさほど気にならないような気はします。
 これでレンズ部分は終了です。あとはもう紙の加工だけ。完成は近いですよ。

100605g

 チップスターのキャップ部分。上の紙を取り外します。けっこうしっかりとのり付けされているので、外側の丸いところの形を崩さないよう慎重に。内側に紙が残ってしまいますが、カッターを使ってていねいに取り除きました。

100605h

 アクリル球の一番手前に焦点を合わせて写すものです。ですから、その距離がどれくらいか、宙玉レンズを持って実際にピント合わせをしてみます。自分の場合は70mmにしてみました。マニュアルで合わせるのが基本ですが、オートでだいたい合うようです。
 これも丸い形をつぶさないよう、カッターで手を切らないよう慎重に。

100605i

 さぁこれでもう全て揃いました。
 左から、カメラ(35mmマクロレンズ)、ステップアップリング、レンズの胴体、宙玉レンズ、レンズ押さえキャップ。これらを合体させれば完成です。

100605j

 じゃぁ〜ん!これが完成品。グリーンを選んだのは、のり塩味が好きだというのと、自然に溶け込みやすいんじゃないかなぁと思ったから。オレンジやレッドではいかにもという感じがしましてね。
 でも実際にこれを装着して歩きますと、微妙に恥ずかしいです。山の中はどうってことありませんが、人んちの庭先でこんなもの付けて花を接写してたりすると、ちょっと怪しいと思われて当たり前‥‥。

 というわけで、以下関連サイト再掲です。

上原ゼンジ写真実験室
宙玉レンズとは
宙玉レンズの作り方
はざいや

“宙玉レンズを作ったよ” への9件の返信

  1. 面白そうなのを作りましたね。
    自作レンズと言えば、昔ベス単のレンズをニコンで使えるように制作したソフトフォーカスレンズがありました。
    ファインダーがボーっとボケるので、とてもピントが合わせ難いレンズでしたが、非常に雰囲気の良い描写をしてくれました。
    それと、ボディキャップの真ん中に針穴を開けて、針穴写真を実現してくれるレンズ?も作ったことがありました。
    またSONY用にやってみようかな。

  2. なぁ~るほど! 面白い物が作れるのですね。
    教えて頂くまで分からなかったです。自作まで手が回りませんが知識として頂きます。宙玉レンズ作品たまにはブログに載せて下さいね。

  3. さすがkantoshiさんいろいろやってますねぇ。
    今はフォトショに限らずいろんな加工ができますよね。
    ソフトフォーカス、フィッシュアイ、ピンホールやトイカメラ‥‥。
    便利でありがたいフィルタではありますが、自作したものにある
    気持ちまで写り込むようなリアリティにはかなわないなぁって、
    初めて感じました。

  4. こうなってくるとヲタクの世界かもですね。(^^;
    チップスターの空き筒でこんなにハマるとは思ってもみなかった‥‥。
    たまにはどころか、今日もまたまた掲載しました。
    ご感想お持ちしてまぁ〜つ。

  5. はじめましてnalといいます。
    僕も宙玉レンズに興味があって
    自作をしようと思いましたがアクリル球が高価で
    結局「マミンカ」さんで既製品を購入しました。
    僕もはじめに「はざいや」さんで注文しようと思いましたが
    約直径20mmの物で3660円って・・・
    サイトの表示が『外径』になってるので間違えなんですかね?

  6. ごめんなさい・・・
    僕の勘違いでした。
    外径=直径でした。

  7. nalさん、はじめまして。
    確かに「外径」って直径の3.14倍みたいな気もしますね。
    自分は何も気にせず、あぁ20mmだなと注文しちゃいましたけど。
    でも、既製品はそれなりのクオリティでしょうね。
    お恥ずかしながら自分のレンズは、接着剤のアルコール分?みたい
    のがふわぁ〜っとかぶったような感じで、微妙に曇っているところが
    あったりします。どうせ自作だからと気にはしないんですがね。(^^ゞ

  8. 既製品は上手に接着してましたが
    hiromaruさんの写真を見る限りさほど
    写りは変わりませんね。
    手作りの方が楽しみもあっていいと思います。
    接着剤ですがホームセンターにアクリル専用という物も
    売ってました。
    今度はクリスタルガラスや水晶なんかも
    使ってみようかと思います。

  9. リーマーでの穴明けはたいへんです。楽しいのは楽しいんですが、
    正円にするのは至難の業。本文にも書きましたが、アクリル板は
    穴を空けてもらうところまでお願いした方がいいかなと思います。
    自分もアクリル球の大きさなどを変えてまた挑戦してみようかと
    考えています。

コメントは受け付けていません。