iPhone 4 で HDR写真

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 先週「iOS 4.1ソフトウエアアップデート」がリリースされましたが、iPhone 4の新機能として、「ハイダイナミックレンジ(HDR)設定を使って、露出の異なる複数の画像を自動的に1枚に合成し、より幅広い光の表現を持った美しいHDR写真を撮ることができる」ようになりました。
 特に、明るい部分と暗い部分との差が大きい写真の場合、どうしても白トビや黒つぶれができてしまうんですが、明るい方、中間、暗い方と、露出の異なる写真を3枚連続撮影し、良いとこ取りで1枚の写真に合成してくれるというシロモノ。
 説明はともかく実際に比べてみればわかります。

 最初の写真はノーマルモードです。夕方の空ですが、実際はこれほどコントラストの強い風景ではなかったんです。また、下の方には田んぼなどの風景もよく見えていたはず。
 これをHDR撮影すると次のようになります。

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 撮影直後、夕陽の色が若干物足りないかなぁという気はしましたが、雲や田んぼの様子などこれはかなりリアルだなぁと感じました。単純に言うと黒つぶれが(つぶれ切ってはいませんが)がかなり改善されているわけです。
 でもどうでしょう、写真としてはノーマルの方がいい感じですよね。

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 続いては夕方の街の様子。まずはノーマルですが、こんなには暗くなかったんですよね。雲もここまで黒くはないんだなぁ。それがHDRだと次のように。

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 車の見え方、暗さと照明類とのコントラストなど、これもかなりリアルでした。いいなぁと思ったのは、山の上にちょっと見える空の部分。ここに夕陽の色が黄色く残ってくれました。ノーマルではほぼまっ白。
 これはHDRの方に軍配を挙げたいところですが、雰囲気としてノーマルも悪くはないかなぁ。かなり微妙なところ。

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 何となくHDRの効果が見えにくいですね。では続いてネコの写真。ブラインド越しに日なたぼっこするげんをノーマルで撮ってみました。まっ白に写っている脇腹あたりに光の強さを感じます。頭のあたりはやや暗くて全体的にコントラストが強いですね。

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 で、これがHDR写真。白トビしていた脇腹あたりにきちんとブラインドの影が見えています。腕のあたりも床と腕との違いがはっきりわかります。また、耳の下・床のあたりの感じも良く出ていて、全体としてノーマルよりずっとやわらかな写真になりました。

 ということで、明らかにその違いがわかると思います。効果は歴然ですね。いずれも解像度を小さくしただけで色やコントラストはいじっていません(ほんの少し・同じ数値だけシャープかけました)。
 その効果はわかりますが、写真としてどっちを使うかはその時々の意図などもありますからねぇ。HDRのON/OFFはワンタッチで切り替えられます。HDR写真合成だってわずか3〜4秒で終わります。必要に応じて使い分ければいいでしょう。
 使い分ける、ワンタッチとは言っても、シャッターチャンスを逃したくはない。実はHDRがONの状態でノーマル写真とHDR写真と両方記録することが可能です。同じ写真を比較できるようになりますから、これは非常にポイント高いと思います。ただし、冒頭書いたように3枚連続撮影して合成するので、動きの速い被写体は変に合成されかねないようです。そこはご注意を。
 とにかく、iPhoneでの写真撮影がまた楽しくなりそうです。

“iPhone 4 で HDR写真” への2件の返信

  1. 昨年SONYではα550というデジイチにこのHDR機能を搭載したのです。
    撮したいものにピントと露出を合わせるという銀塩の頃の方法論からすると、何を基準に露出を決めるの?という疑問を持ちました。
    ダイナミックレンジを最大限に活かした写真が良いのかどうか?
    私はハイキーでもローキーでも、狙い通りならそれで良いと思っているのですがね。
    今のカメラには今の方法論があるのかな?
    ロバート・キャパの頃ならともかく、「ちょっとピンぼけ」という写真はもう有り得ない時代なのかも知れないし・・・

  2. 確かに何をもって「いい写真」が完成するのかは疑問ですね。
    できあがった2枚を比較して白黒は決めざるを得ませんが、いずれにしたってベストではないと思います。
    自分もカメラそれぞれの特性でいいと思います。それはカメラ選びの楽しみであるかもしれませんね。デジイチでレンズを取り替えながら撮ったりiPhoneで撮ったりフィルムトイカメラで撮ったりしながら楽しむし、iPhoneのカメラアプリやPhotoshopでいじるのだってカメラや写真の楽しみの範疇だなぁ。
    それってかつてフィルムの現像を工夫するとか印画紙を選ぶとかそういうことと要は同じなのかも知れない‥‥。
    今はよほどじゃないと現像から楽しむことはありませんが、今の技術が当たり前に搭載されているカメラを手にすれば、最新技術を楽しむことから始まるんですよね。
    あっちにもこっちにもピントが合うなんて信じられないけど、今は今の方法論‥‥にならざるを得ないのかも。
    そうは言っても、やっぱりいい写真はいいもので、それはHDRとかハイスピードオートフォーカスとかじゃなくて、その人らしさによるところが大きいんじゃないでしょうかね。

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