震災12日目・新しいいのち

110322

 地震のこととか災害のこととか、あんまり書きたくなくなってきた。放射線なんかも数値は確かにそうだけど、だからどうなるもんじゃない。現場で起こっている状況も見ずして何をかいわんやだ。みんなそれぞれの立場でがんばってるのはわかるんだけど‥‥。
 さてさて、JAMSS・有人宇宙システムが数年前に企画した「花伝説・宙へ」というプロジェクトに三春の滝桜も参加した。宇宙から還ってきた滝桜の種を譲り受けて実際に蒔いたところ、その中のいくつかが発芽した。昨夏の暑さにも耐え冬を迎えたが、まだ地植えするには早いからと、別の場所で初めての冬を越した。その桜が今日戻ってきた。

 葉は枯れ落ちて細い小さな一本の枝だけになっていたから、果たして冬を越せるのかと心配していたんだけど、久しぶりに見た滝桜の子は、少しだけど太く高く育っており、そしてしっかりといくつもの若芽を付けていた。
 自分は素人で何もわからないけど、たぶん、たぶんこのまま大きく育っていけるだろうと思えるくらい、みっちりした感がある。新しいいのちが生まれたかのような喜びを感じてカメラに収めた。

 彼女は間もなく産休に入るそうだ。職場にも地震による大きな被害はあったけれど、とりあえず母子ともに安定しており、それまではできる限りのことをしていきたいとのこと。母は強しだとつくづく思う
 そんな強い母に、自分なんかの励ましがなんぼのものかと思ったが、無理をしないようにと伝えた。
 何だかんだ言っても結局は健康であることが一番。仕事も気になるだろうけれど、あまり先々まで考えたって仕方がない。自分たちができることは、今できることしかないんだから‥‥。
 そのためにも今元気でいること。しかしそれは今日生きることというよりは、明日を迎えるためじゃないかと自分は思っている。だからムリはしない。ムキにならない。だけどムラなくやっていく。決してテキトーにってことではなくて、しっかりしたゆるい生活をきちんと続ける‥‥そんなところかな、自分は。

 この先、自分たちが安心して暮らせるように、新しいいのちをほんとうに大切にしてやってほしい。自分たちは10年後、20年後の若者に託すしかないのだ。
 復興は、5年、10年、20年とかかっていくだろう。どこまでできるかわかんない。でも、今さらながら自分も多少のムリは覚悟しなくちゃだ。カッコつけるつもりはないけど、未来のために、人のいのちも自然も、しっかり守っていかなくちゃだな。がんばろう、がんばろう!