ヒゲをどうするか

 ヒゲが濃い。毎朝剃るのが億劫である。その手間がイヤなだけじゃなくて、お肌があまり強くないのでカミソリ負けを起こしてしまう。血なんか出ようもんなら薬の関係でなかなか止まらない。だから剃りたくない。
 日本でもヒゲを生やす人がずいぶん増えた。ヒゲを生やすなんざエラい人かドロボーかどっちかだみたいな感覚さえあった。濃いヒゲの私はどっちかと言えばドロボータイプな、口の周りをガーッと真っ黒に染めればいいみたいな、あるいはカールおじさんみたいな、そんなヒゲだ。
 意を決して今月初め頃からヒゲを生やした。が、自分的には「生やす」のではなく「部分的に剃らない」だけだ。全部そのままだと顔の下半身が全部真っ黒になる。それも有りっちゃ有りだろうが、肌の白い間の抜けた顔立ちに精悍さなんか感じられないから、やっぱあり得ねぇ。ので、一番目立たなそうな・意外と剃るのがめんどうな顎髭部分を残してみた。たったそれだけだが自分的には相当なひげ剃り時間短縮を図ることができたような達成感まで覚えた。
 慣れないとめちゃくちゃこっぱずかしい。が、意を決したのだから進むしかない。そうして私は出勤した。大笑いされるようだったらやめればいいと思った。が、自分が予想しているほどの反応はない。ここまでの話でだいたい予想はつくと思うが、自分自身かっこいいと思っているわけではない。それを考えれば、あえてそこには触れないことにしようという皆様方の温かいお心遣いもよくわかる。が、引っ込みがつかなくなることも事実‥‥。
 部分的にとは言え、夕方にはその周辺もかなり同化しつつある状態になる。それならいっそこの部分も残そうかと考える。それならこの部分も、この部分も‥‥。そうなるとやっぱりカールおじさんかドロボーか、そうそうホモ尾田ホモ男状態か。まぁいいや、明日も頑張ってみよう、そうやって数週間が過ぎた。すると目が慣れてくる。そんなもんだと思うようになる。が、相変わらずかっこは悪い。ひげ剃り時間はさほど変わらないことも実はわかっていた。かっこ悪いことにこだわってるみたいなところがかっこ悪いと思うようになってきた。引っ込みがつかない。何かチャンスはないものか‥‥。
 そう言えば、オーストラリア戦は自分がヒゲを伸ばしていたから負けたのかもしれない。そうだそれだ。よし、だったら今回はきれいさっぱりにして臨みましょうと、日曜日の夜に剃った。結果はご存じのとおり。関係なかったのか‥‥。っていうか、今思えば急に剃ったから体調崩したのかもしれない(はずはない)。
 まぁそりゃぁそうなんだけど、でも今度はサッカーに対して自分のヒゲはどうかという疑問が湧いてくる。ヒゲ有りでオーストラリア戦、ヒゲ無しでクロアチア戦、じゃぁブラジル戦に対して自分のヒゲをどうするか。皆さんの予想は‥‥?