かこつ・ける【託つける】

 大辞林によりますと「ほかのことに関連づけて、そのせいにする。ことよせる。」なんてことを「託つける・かこつける」と言うのだそうです。仕事にかこつけて‥‥、歳にかこつけて‥‥、最近は何にでもかこつけて何とでもしてしまう技術を習得したというか‥‥。

 数日前、父ちゃんの命日でした。平日というのもあって墓参りなどは無理だと思い、その前に・GWにかこつけて実家を訪ね兄ちゃんたちと飲んできました。
 いつもごちそうにばかりなっているのもあれだから、休みだし久しぶりに腕を振るおうか‥‥なんてことにかこつけて、自分が食べたい唐揚げをいぱーい作って持っていきました。ゆめのかおりも持っていきました。
 が、いつの間にかウチの奥さんが作ったことになっている‥‥。まぁいいまぁいい。みんなでおいしくいただければそれでいいのだ。
 いいのだけれど、そもそも命日にかこつけて行ったのに、父ちゃんの思い出話などひとつもなくて、それがつまり四十数年の月日ってことだろうと自分で納得する次第。本題からすっかり逸れてしまってるのに納得してるあたりが「かこつける」なんだなぁ。

 父ちゃんの命日には柏餅という暗黙の了解みたいのがあるのだけど、実家に行ったときはすっかり買い忘れ‥‥。なので命日には自宅に少しだけ買って帰りました。
 その日は改めて命日にかこつけて一人でじっくり飲もうと思ったんですが、結局それほど飲まずにいっぱいになる始末。最後はビールと柏餅で締めました。意外にまずくはないぞ。
 まずくはないけれど、何も今食べなくたって‥‥またかこつけて買ってきたことを少々後悔するのです。

 さてさて、この界隈(のおやじ連中)の話題はもっぱら「地元佐藤酒造の三春駒純米吟醸酒が、南部杜氏の鑑評会で第1位に選ばれた」ってニュース。すごーい。のに、こう言っちゃ失礼なんだけど、意外や意外‥‥って思ってしまって。
 だってさ、これまでにも何度となく別の鑑評会などで選ばれてそしていただいてはみてたんだけど、ん〜、どうも自分の好みとは違っていて‥‥。吟醸も大吟醸もいろいろあるんだけどね。
 そうは思っても、やっぱ地元愛ってあるから、今回もまたちょぴり期待しつつこのニュースにかこつけてさっそく飲んでみたんです。件の「三春駒純米大吟醸」を。

 キタ━━(゚∀゚)━━ッ!!! って思いました。来たよ来たよ。福島の酒がどんどんおいしくなってるってのに、三春駒どうもその波についていけないかと思っていたけど、ついに三春駒もこういううまさにたどり着いてくれたのだと、嬉しさがこみ上げてくるっす。
 ここの杜氏さん、初めて造った酒だって言うけれど、そうか、でも一発でこうなるわけではないよねぇ。初めて造って試行錯誤の末の結果なんだろうなぁ。そうそう、あの頃からみんなで造ってきた酒が、その杜氏さんを迎えて花開いた‥‥って思いたいです。

 山形の酒を好んで飲んでいましたが、くどいようだけど最近は福島の酒がホントにうまい。具体的に書くとあれだけど、某あぶくまとか、某金水晶とか、まさかって思うほどなんだよな。でも三春駒は相変わらず‥‥じゃなくなった。これはいいよと自信をもっておすすめできる地酒‥‥。
 高くてうまい酒は当たり前というのがおとっつぁん感覚。うまくて安い、安くてうまい、結局のところそういうこと。受賞したのは純米大吟醸だからそりゃぁさぞかしお高いんでしょぉ?と思いきや、これまでよりはずいぶん抑えられているかな。
 へんに商売っ気など出して、受賞にかこつけてまたプレミアム路線‥‥なんてくれぐれも考えないでほしいです。毎日は無理だけど時々なら‥‥。特定の誰かに向けるんじゃなくて、底辺の広がりをしっかりとつくっていく。まずはみんなに飲んでもらう。そういう路線でぜひいってほしいものです。

 そういう意味で、決して御贈答用ではなくぜひ飲んでみてほしくて、横浜の方さ少し送ってみましたよ。

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